ひきこもり新聞の起源とひきこもり社交界への招待~ヨナタンからの手紙~ 第二回


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(文・ヨナタン・リビングストン)
※このレポートはあくまでヨナタン・リビングストンの作風であり、ジョークやフィクションを織り交ぜておりますのでご了承下さい。

ヨナタンより、親愛なる読者諸氏へハロー。

前回の手紙では、ごく簡単にではあるが、われわれひきこもり新聞編集部の横顔をお伝えした。

ひきこもり当事者・経験者個人による発信や、特定の支援団体による「当事者の声」(これは役回り的に、腹話術の人形と変わるところがないものが大半である)的なものは、従来も存在したが、われわれのように、当事者・経験者自身によるメディアの創設を意識した発信活動というのは、これまでなかったように思う。

しかし、われらとて、無から出現したわけではない。
直接的な経緯に関しては、われらが首領Kこと木村氏が、別記事にて存分に語られたと思うが、グループとしてこのような活動がいかにして可能となりえたのか、今回は、その背景についてご報告申し上げようと思う。

そのためには、われわれの母胎ともいうべき、ひきこもり社交界の存在についての言及が不可欠であろう。

~謎のソサエティ、ひきこもり社交界~

さて、「ひきこもり社交界」といっても、多くの読者には馴染みがないことと思う。

平たく言えば、埼玉含む南関東+甲信地方(とくに山梨)を中枢に、全国のひきこもり関係者(の一部)の間に形成された人間関係のネットワークと、そこにおいて展開される諸々の社会活動の総称、と定義できるだろう。

なお、ここでいう関係者には、当事者・経験者のほか、支援関係者や当事者の家族、ひきこもり問題に関心をもつ市井の人々まで含まれている。

さて、上記中枢地域内に点在する、特定のひきこもり関係の集会(業界内では、これらは「居場所」や「フリースペース」などと呼ばれている)に幾つか足を運んでみれば、どこでも一定の割合で、「別の場所で見たことのある人びと」と遭遇するはずだ。

探りを入れてみると、これらの人々は、互いに密かに、あるいは公然と誼(よしみ)を通じていることが判明する。
こうした人たちの後を追い、集会後の二次会などへ行くと、そこでは適当に飲み食いしつつ、歓談や情報交換にうち興じる関係者たちの姿が目撃されよう。こうした場では、交遊活動のみならず、各地の情勢の報告、目下遂行中の企画の進展状況や新規プロジェクトの計画・立案、集会の運営上の問題に関する相談などが随時図られている。

また、これらの事業に関連して、協力者の募集、企画に応じた適任者の推薦有望な人材のスカウト、さらには初顔合わせの人々の間で「名刺の交換」や、仲介役による「新人」のデビューの後援といった活動が繰り広げられている。
こうした光景は、まさに社交界、というにふさわしいものといえよう。

すでにお気づきであろうが、われわれひきこもり新聞も、こうした交遊活動の中から、形をなすに至ったものだ。
事実、以前より首領と親交のあった者は、編集部の同志たちの中にほとんどおらず、大半は社交界を通してプロジェクトを知り、
自らはせ参じてきた者たちだ。

こうして集まってきた同志たちのなかに、新聞や雑誌編集の経験がある者、WEB上で発信を行うに必要なスキルを有する人物が存在していたことは、特筆に値しよう。いわば、ひきこもり社交会が意図せざる人材派遣機構のような働きを為したというわけだ。

ちなみに私自身は、といえば、故あって家族以外との人間関係を一切断った生活を10年ばかり続けていたが、数年前に「そろそろ世に出て、人と交わりなさい」とのメッセージが神から届き、それを実行すべく、社交界に出入りしていたところひきこもり新聞の存在を察知し、エージェント兼記事提供者として協力する運びとなった。

こうした一切は、自分の意図と関係なく、「なぜかそうなった」、としか言いようがない。
他の当事者の人にも、各々のパターンがあるようなので、一概にはいえないが、とりあえず「ひきこもりを止めるには、○○しかない」、という見解は事実に照らして間違いであることは確かなようだ。

~参加への手引き~
このような次第であるので、ひきこもり生活も一段落し社交活動にも関心が出てきた方、また、ひきこもり関係で何か活動を行いたいが、周囲に適当な機会や協力者が見つからない、とお嘆きの諸氏は、一度社交界への参加を試みられてはいかがであろう?

最後になるが、注意すべき点として、上記地域内のひきこもり関係の集まりだからといって、われわれのソサエティと必ずしもリンクしているわけでないことに留意していただきたい。

例えば地域の保健所など行政機関主催の集まりや、古くから存在する支援団体付属の当事者会などは、まずリンクしていないと思っていい。
ただし、全国規模のひきこもり家族会として有名な、KHJ系列の団体に併設の当事者会は例外である。

これには単純な人脈の問題のほか、ひきこもり支援界における積年のイデオロギー抗争の歴史や、基本的な組織原理の違いなどが大きく影を落としているが、字数の関係で、これらについての説明は今回は割愛させていただきたい。

具体的に言えば、当新聞の「今月のイベントコーナー」に記されている場所や、外部サイトではあるが、わが畏友にして社交界の英雄である
W氏のブログ『ひきこもりピアサポート』内で、(http://hikikomori-peersupport.hatenablog.com/
紹介されている場所へ赴けば、まず確実に社交界に通じる人士たちと出会えるであろう。

では。また。次の機会に。